REPORTレポート

面白いほどよく分かるファシリティマネジメント講座

ファシリティマネジメントの対象分野

ファシリティマネジメントがカバーする範囲は広い

ファシリティマネジメントとはの記事で、日本では、「企業・団体などが、その組織活動のために保有・使用する全ての施設資産とその利用環境を、経営的視点・利用者の観点から総合的に企画・管理・活用して全体最適化をはかる経営活動」と定義されていて、欧米に比べて広範な分野をカバーしているという話をしました。

まずは、ファシリティマネジメント(以下FM)が対象とする分野ですが、上記の定義からも、おおよそ人が働いている場所・利用する場所すべてということになります。つまり、オフィス、工場、学校、病院、銀行、店舗、図書館、美術館、駅、空港など、ほとんどすべての場所が、FMの対象となります。

但し、その専門性が高いことから、工場など生産設備については伝統的に現場のエンジニアリング部門が、また店舗については店舗開発管理部門が、計画から管理運営までを担っている企業を多く見受けます。このような場合、FMを担う総務部門やFM部門は、工場や店舗に併設されているオフィスだけをみており、工場や店舗などのファシリティは、FMの対象になっていないケースが散見されます。つまり、組織的に縦割りになっている企業・団体では、FMの本来の目的である、「企業・団体としてのファシリティの全体最適をはかること」が、なかなか難しいという実態があります。

また、FMは、民間企業だけでなく、自治体など公共部門にも適用されます。したがって、広義には、公共部門が管理する道路や橋などのアセットもFMの対象といえます。
 
コロナ禍でさらに広がったファシリティマネジメント領域

ワークライフバランスという言葉があるように、これまで働くということ(ワーク)と、それ以外の遊ぶ・生活すること(ライフ)とは、相容れない切り離された別の行動・時間として位置付けられ、それを行う空間も、それぞれ別の場所、つまり「職場」と「自宅など職場以外」というように分けて考えるのが一般的でした。

しかし、2020年に発生したコロナ禍により、当初は半ば強制的ではあったものの、密を避けるために急遽、多くの企業・団体で、いわゆる在宅ワークが行われるようになりました。その結果、ワークとライフの境界線が、場所的にも時間的にも、かなり曖昧になってきました。ワークとライフを別物としてバランスをとるのではなく、むしろ「ワークインライフ」であるといわれるようになってきているのです。
これまで、冗談めかしに別のFM、ファミリーマネジメントの対象といわれていた個人の住宅も、ついにFMの対象になってきたわけです。

さらに、在宅ワークだけでなく、各人が所属するメインオフィス(センターオフィスともいう)とは別のサテライトオフィスやコワーキングオフィス、駅やカフェなど、いわゆる「サードプレイス」を活用したリモートワークを採用する企業・団体も増えてきています。
このような場所を特定しない新しい働き方、いわゆるハイブリッドワークの流れは、コロナの行方とは関係なく、今後もずっと続くと考えられています。

このように、コロナ禍の追い風を受けた働き方の大きな変化に伴って、FMがカバーする領域も、どんどん広がっているのです。

一方、コロナ禍以前から働き方改革を進めていた多くの企業・団体では、業務の状況に合わせて働く場所を移動する働き方、いわゆる適業適所やABW(Activity Based Working)を採用しています。
当初はオフィス内での場所の移動だったのですが、いまや、オフィスという限定された場所を飛び出し、自宅やサードプレイスを含めて行われるようになってきました。中には、各人が所属するメインオフィスの考え方すらなくし、全国どこの拠点でも働けるようにしてしまった企業もあります。
さらに、場所だけでなく時間的な自由度も増して、AAW(Anytime Anywhere Working)などともいわれるようになってきています。副業や兼業を認める企業もあり、働き方、働く場所は、多様化に向かっています。
 
このようにFMのカバーする領域がどんどん広がって、面白くはなってきているのですが、一方では、ますますFMが分かりにくくなってきているので、次回から実例を交えてお話しすることにしましょう。

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