REPORTレポート
実費精算(コストプラスフィー)契約とは、工事においては施工業者のコスト(外注費、材料費、労務費等)とフィー(報酬)をガラス張りで開示する契約方法。
一般に、コストは実費として要した金額で発注者に承認された額となる一方、受注者の報酬にあたるフィーについては、コストに対するパーセンテージで決定される契約、コストとは関係なく一定額である契約、取り決められた目標工事金額を大幅に下回った場合などに受注者がインセンティブを受け取ることができる契約など、プロジェクトによって採用される報酬形態が異なる。
この方式の特徴としては、発注者にとっては対象となる工事の詳細が確定しない段階で工事をスタートできるが、最終的に工事が終わってみなければ幾らとなるか分からないというリスクを抱える点が挙げられる。また、受注者としては物価上昇などによりコストが上昇するリスクを負うことなく契約に基づいた一定の利益を確保できる一方、実費清算の際に発注者より承認を得る為の資料作成に多くの手間・時間を要する点が挙げられる。
この「実費精算契約」は主に設計が確定していない場合や、技術的に未知の要素が多い場合など、請負に伴うリスク負担が大きく、無理に請負契約にすると見積金額が高くなってしまう場合などに採用される。例えば、震災や災害における復旧工事では緊急を要するものの、完成度の高い図面や仕様書が準備できない場合があり、このような場合には順次工事に要した実費を精算しながら工事を進めていく「実費精算契約」が採用される。
参考|実費精算契約(コスト・プラス・フィー契約)とは(アーキブック)
WRITERレポート執筆者
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橋詰 健
インデックス シニアアナリスト
都市計画、都市開発のコンサルタントとしてキャリアをスタート。当社では再開発事業、マンション建て替え等のPMを経て、東日本大震災の復興プロジェクトを経験。現在はCSR担当として3つの一般社団法人を運営するほか、経営企画にも参画。専門的な知見を活かし、社会課題の解決に貢献するソリューションを提供します。
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