REPORTレポート
代表植村の自伝的記憶
隈研吾さんとの仕事で感じるグローバルに挑戦する姿勢と熱量
【2024年5月17日掲載】
※このレポートは2024年5月14日にLinkedInに掲載したものを一部編集したものになります。
少し時間が経ってしまいましたが、ゴールデンウィークにフランスに行きました。ビジネス関係の打ち合わせもいろいろとありましたが、目的の一つはパリの日本文化会館で開催された、建築家の隈研吾さんの展覧会に参加することでした。今回の記事では、パリで感じたことをお伝えしようと思います。
今回開催された展覧会は「丹下健三と隈研吾展 ー東京大会の建築家たち」 文字通り、1964年の東京オリンピックで国立代々木競技場を設計した丹下健三さんと、2021年の東京オリンピックで国立競技場を設計した隈さんの軌跡を振り返った作品展です。
展示会でのシンポジウムのテーマになっているように、隈さんはオリンピックのレガシーとして国立代々木競技場の世界遺産登録を目指しています。それも、展示会を開催した目的の一つだったようです。
隈さんとは、かなり前からお仕事をご一緒していますが、今回の展覧会の反響を見て、世界屈指の建築家になったのだな、と改めて感じました。あの丹下健三の作品とも肩を並べているのですから。
隈さんに感じるアーティスト魂
事実、ここ最近の隈さんの仕事量は驚異的です。
今進めているモンゴル・カラコルムのスマートシティプロジェクトに入札するため隈さんとモンゴル大使館に行った時も、移動中のクルマの中で世界中のプロジェクトに指示を出しているんですよ。ファサードの形状や材質はどうだ、という細かなところまで。とても世界の巨匠とは思えません。
直接聞いたわけではありませんが、恐らく隈さんは生きているうちに、世界中に少しでも多くの作品を残したいのだと思います。細部にとことんこだわるのも、建築物は隈研吾の作品として後世に残っていくからでしょう。まさにアーティストの鏡です。
最近は一つの建築物ではなく、スマートシティのような環境配慮型の街であったり、文化遺産のような既にあるものを活かしつつ新しい場所を作ったり、ということに関心が移っているように見えます。
現に、カラコルムのスマートシティプロジェクトは、チンギスハーンが1220年に建設した旧都を再建するというもので、マスタープランを募集する国際入札に54カ国から428チームが応札したほどのスケールの大きい自然共生型プロジェクトです(インデックスストラテジーが代表企業を務め、隈研吾建築都市設計事務所がパートナーとして参画しています)。
モロッコ・カサブランカで進めている旧市街再生プロジェクトも、ユネスコの文化遺産に選ばれている食肉加工場をeスポーツを主体としたMICE(国際会議や展示会)にリノベーションするというプロジェクト。常に新しいことに挑戦する隈さんにとって、胸が躍るようなプロジェクトなんだと思います。
私自身も、こうした隈さんの挑戦にプロジェクトマネジャーとしてかかわれることを身に余る光栄と感じています。
今回、パリでご一緒して、隈さんのあの熱量とグローバルで果敢に挑戦する姿勢は私自身も改めて見習わなければと強く思いました。
※【掲載の写真について】丹下健三氏が設計した代々木競技場。隈研吾氏の国立競技場と同じく東京オリンピックのレガシーの一つ(写真:Rs1421, CC BY-SA 3.0 <https://creativecommons.org/licenses/by-sa/3.0>, via Wikimedia Commons)
WRITERレポート執筆者
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植村 公一
代表取締役社長
1994年に日本初の独立系プロジェクトマネジメント会社として当社設立以来、建設プロジェクトの発注者と受注者である建設会社、地域社会の「三方よし」を実現するため尽力。インフラPPPのプロジェクトマネージャーの第一人者として国内外で活躍を広げている。
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