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海外PPPで知った民間の提案を生かす仕組み

インデックスストラテジーでは官民連携(PPP:Public Private Partnership)の手法を活用した海外の社会インフラプロジェクトに、積極的に取り組んでいます。
 
ガーナ政府と進めている有料道路のPPPプロジェクトでは、予備的調査であるプレフィージビリティスタディ(プレFS)を終え、フィージビリティスタディ(FS、事業化可能性調査)に入るという段階です。FSでは、より精緻な需要調査やリスク分析に加えて、より精度の高い収支計画を作成し、企業コンソーシアムの組成に向けてSPCの代表企業や構成企業、資本構成など具体的なストラクチャーを考えます。
 
また、ベトナム・ホーチミン市とロンタイン国際空港をつなぐ南北高速道路(ホーチミン~ロンタイン~ゾーザイ区間)のコンセッション事業も、プレFSが2020年12月より始まりました。足元では、ペルーの有料道路コンセッション、フィリピンにおけるスマートシティプロジェクトなど世界中でプロジェクトが動いています。

私たちの役割は有望な案件を抽出し、企業が参加しやすいプロジェクトに仕立て上げること、実際にプロジェクトが始まれば全体をマネジメントすることです。いずれ近いうちに、ガーナやベトナムなどは日本企業などが参画する具体的なプロジェクトに昇華するでしょう。
 
 
 
海外の入札で一般的なアンソリ提案
 
 
こういった海外のPPP案件に取り組み始めて分かったことがあります。それは、海外には民間の技術やノウハウ、資金を求めているプロジェクトが数多くあり、日本企業にも活躍の余地が十分にあるということです。そして、もう一つ分かったのは、PPPプロジェクトに対する各国のスタンスの相違です。
 
日本の場合、社会インフラのPPPを進める際には、内閣府や国土交通省などの補助金を活用し、実現の可能性などを調査した上で入札に臨むことがほとんどです。海外についても、インフラ輸出の強化策としてPPPの協力準備調査というJICA(国際協力機構)の補助金があり、われわれもガーナやベトナムのプロジェクトでは大いに活用させていただいています。
 
ただ、インフラのPPPにおいて海外にはこういったたぐいの補助金はありません。政府が調査費などの名目で補助金を出すことはなく、民間企業が自分のリスクで調査、FSを実施することが通常です。高速道路であれば「この路線を建設し運営権を取得したい」と政府に提案するアンソリステッド・プロポーザル(非公募提案)という制度が確立されています。この制度に則って、政府は民間企業の提案を検討し、優れた提案であればPPPプロジェクトとして採用されることになります。
 
最終的に事業者を決める際も、費用をかけて調査した上で提案している企業と、単に入札に参加しただけの企業を同一に扱うのはフェアではないため、提案した企業に一定の加点を与える、一定の期間を設けた上で競合が現れ、その提案がアンソリ提案の対価を上回った場合には再チャレンジの機会を与える(いわゆるスイスチャレンジ)──など、国によって異なりますが、様々な優遇措置を導入している場合がほとんどです。
 
こういったオープンな制度が確立されているからこそ、民間企業は自らのリスクで積極的に提案し、結果的に優れた提案が集まるという好循環が生まれるのでしょう。
 
 
 
先行する海外の仕組みのいいところを取り入れるべき
 
 
あまり知られていませんが、実は日本にも海外でいうアンソリステッド・プロポーザルがPFI法に組み込まれています。ただ、運用可能なガイドラインが示されておらず、地方自治体も必然性を感じていないため、残念ながら活用されていません。
 
日本のインフラPPPは緒に就いたばかりで、インフラPPPを担う民間企業が育っていません。企業に参加してもらうインセンティブとして、調査費などの補助金が必要な側面がまだまだあると思います。ただ、国内の社会インフラが老朽化する中、AIやIoTの活用を含め、更新や維持管理のために官民連携の手法を活用するケースは今後、増えていくでしょう。国と地方自治体は民間の資金、技術、そしてノウハウを活用できるように、そのプロジェクトを通してSDGsを実現できるように、先行する海外の制度や仕組みのいい点をもっと取り入れるべきだと思います。

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