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コロナ時代の経済の「新常態」を考える

今回の新型コロナウイルスの感染拡大は、大げさではなく100年に一度の大きな変化だと考えています。
 
もちろん、ワクチンの開発に成功し、それが普及すれば、インフルエンザのような季節性の風邪の一種と皆が認識するようになるかもしれません。ただ、感染拡大に伴う経済活動の自粛によって、経済は大きく減速しています。パンデミック以前の状態に戻るには相当の時間がかかると考えるべきでしょう。
 
消費者が「買わないこと」に慣れてしまえば、それが新常態になります。
 
「買わないこと」に慣れる消費者
 
思えば、市場主義をベースにしたこれまでの資本主義は、マーケティングなど様々な手段で消費者の欲望を喚起し、商品やサービスを売り込むことで拡大してきました。その中には、不要なものも数多くあったでしょう。ドーピングでかさ上げされた需要と言ってもいいのかもしれません。今回のコロナ禍によって、そういったかさ上げされた部分は剥落していくと思います。
 
「買わないこと」に慣れた消費者がドーピング状態のコロナ以前の消費行動に戻るかどうか。戻る可能性も当然ありますが、経営者である以上、私は一定程度は戻らないという前提で考えています。その分の需要は市場から消えることになるでしょう。
 
それはインバウンドでも同様です。コロナ以前はビジネスや観光で気軽に海外を行き来していました。ところが、移動自体がリスクと感じる人が増えている上に、オンライン会議で十分だということに多くの人が気づきました。現地に行き、相対でコミュニケーションを取らなければならない場合は依然としてありますが、「行く」「行かない」の判断基準は厳しくなるはずです。
 
高級ホテルやビジネスホテルはビジネスの前提が変わってしまいました。MICE(展示会や国際会議)やカジノなどIR(統合型リゾート)もビジネスモデルや事業収支の転換を余儀なくされます。
 
アセットの最適化に踏み切る企業

インデックスコンサルティングは建設におけるプロジェクトマネジメント(PM)の専門家集団として、民間建築から社会インフラまで、事業デザインから施設管理まで、そして国内からグローバルまで、幅広い分野でシームレスに専門性を提供しています。
 
より具体的に言えば、オフィスビルや商業施設、工場、大学、病院といった建築プロジェクトの最適化やコスト削減、あるいは社会インフラにおける官民連携(PPP)プロジェクトの企画立案や事業創造、あるいは完成した施設や既存施設における管理運営の最適化や新しい時代に対応したスペースの有効活用について、クライアント企業の課題を捉え、最適なソリューションを提供してきました。
 
危機に陥れば、アセットを持つ企業は新たな活用法やリストラクチャリングを模索します。危機下にあればあるほど、われわれの専門性が顧客の価値向上に資する機会は増えるでしょう。
 
現に、今もオフィスビルなどのアセットを持つ企業からの相談は増えています。ある企業グループは全国に販売店の拠点を数多く持っています。ただ、少子高齢化の影響で販売店の売り上げは右肩下がりで、全国にある店舗を再編し、不動産保有にかかるコストを最適化したいという相談が弊社に来ました。
 
われわれは建築コンサルティング会社ですが、プロジェクトの企画立案や事業創造など、クライアントのビジネスモデルを構築するところから関与するという強みがあります。それが分かっているからこそ、先の企業グループは相談に来たのでしょう。
 
コロナ前であれば、マンションや住宅向けの用地としてデベロッパーに売るか、収益物件を作り、保有すれば問題は解決しました。ところが、先ほども申し上げた通り、新型コロナによる需要減でスペースは余ることが確実です。仮に、需要が半減すれば、従来の収支計算ではプロジェクトの利回りが取れず、何かで補完しなければなりません。
 
コロナ時代における新たな成長戦略

もっとも、見方を変えれば、危機はチャンスでもあります。
 
これまで、不採算事業の見直しやビジネスモデルの転換、少子高齢化に見合ったアセットのリストラクチャリングやデジタルトランスフォーメーション(DX)など、直面する課題を先延ばしにしてきた会社は少なくないと思います。弊社もそうです。ただ、今回のコロナ禍によって、いよいよ自社の抱える課題に取り組まなければならなくなりました。コロナ禍という他力ではありますが、やらなければならない状況になったこと自体は悪い話ではありません。
 
振り返れば、弊社が建築プロジェクトマネジメント(建築PM)を始めた2000年代初頭、建築プロジェクトに第三者の専門家を雇うという文化はありませんでした。ただ、平成バブルの崩壊とその後のデフレ経済で売り上げの減少や不採算事業の重荷に苦しむ企業が出始めると、建築プロジェクトの効率化や工場など既存施設の再編というニーズが生まれるようになりました。そして、当時はまだちっぽけな弊社を信頼してくれたクライアントの課題に真摯に向き合ったことで、信頼と専門性を得ました。
 
このように、建築PMが日本に根付いたきっかけは経済危機に伴う長期不況でした。
 
今回も状況は同じだと考えています。コロナ禍によって、経済は長期的に低迷していくでしょう。とりわけ日本は少子高齢化の影響で人口が減少していきます。その中で、グローバル化を含め、新たな収益源をリアル、バーチャルの両面で構築しなければなりません。これは、正直言って未知の領域です。ただ、その未来を考え抜き、着実に実行すれば、コロナ時代における新たな成長戦略が描けるのではないでしょうか。
 

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