REPORTレポート

代表植村の自伝的記憶

浦賀ドック再生プロジェクトの優先交渉権者に選ばれました

今回は、インデックスグループが神奈川県横須賀市の浦賀で進めているプロジェクトについてお話しようと思います。
 
10月23日、横須賀市があるプロジェクトについて発表しました。ペリーの黒船来航で知られる浦賀のまちづくりプロジェクトで、15ヘクタールに及ぶ住友重機械工業浦賀造船所(通称:浦賀ドック)跡地開発です。
 
 
造船の街として発展した浦賀には、1899(明治32)年に建造されたレンガ造りの浦賀ドックがあります。2003年に閉鎖されましたが、それまで100年以上にわたり、1000隻を超える船がここで建造・修理されてきました。検査や修理の際に水を抜くことができるレンガ造りのドライドック(レンガドック)は世界に4カ所しかなく、日本では浦賀しか現存しない歴史的にも貴重な施設です。
 
この浦賀ドックは長年、住友重機械工業が保有していましたが、住友重機は2021年にレンガドックとその周辺部を横須賀市に寄贈。横須賀市は海洋都市の実現を目指すべく、「第二の開国」をキーワードに、浦賀駅前の活性化事業を進めることにしました。その事業パートナーの入札が8月にあったのですが、このたび、インデックスを代表企業とする企業コンソーシアム(Team Perry’s)が選ばれました。
 
歴史あるレンガドックの新たな活用に関わることができ、とても嬉しく思います。
 
 
 
レンガドックの新しい活用法
私たちの開発ビジョンは、海から世界につながる浦賀、歴史を継承し未来を切り拓く浦賀、多様な交流により国内外に開かれた浦賀──の3点でした。今回のプロジェクトを通じて、浦賀の文化・歴史の継承、地域経済の活性化、海洋環境の振興、海を活用した賑わいの創出を進めるつもりです。
 
第一に、浦賀のレガシーでもあるレンガドックをさまざまなイベントを開く舞台に再生します。具体的には、コンサートやファッションショーなどエンターテインメントの発信拠点として活用し、人々が集まる魅力的なウォーターフロント空間に生まれ変わらせるという計画です。
 
レンガドックはオランダ(Fortresse Holland)にも残っており、こちらは観光やイベント会場、教育の場として活用されています。このFortresse Hollandと同じように、来訪者や子ども向けの教育プログラムを充実させ、浦賀の歴史や文化を知る機会を提供するとともに、日本のさまざまなコンテンツを世界に発信しようと考えています。
 
第二に、博物館などの文化施設の整備です。レンガドックの周辺には、住友重機が保有する造船所時代の資料が残っています。こうした造船所時代の設備や関連資料、地元の歴史を伝える郷土資料などを展示する文化施設を整備し、歴史的な資産を継承していきたいと思います。ゆくゆくは、こうした関連設備などの重要文化財登録も目指していきます。
 
こうした取り組みには前例があります。
 
スペインのバスク地方には、捕鯨船として活躍した木造船の建造や修復を見せる造船所として有名なアルバオラ造船博物館があります。この博物館では、捕鯨の歴史や木造船の建造技術などバスク地方の歴史や文化が展示されており、来訪者はそうした歴史や文化を学ぶことができます。ここでは古い造船技術を伝えるとともに、新たな造船技術の発展を目的とした教育プログラムも展開しています。
 
また、先ほどお話ししたオランダ・ヘレフォーツラウスにあるFortresse Holland博物館はレンガドックの他に、船舶や海岸防衛施設、その他の関連する歴史的な物品を展示しています。学校向けの教育プログラムも充実しており、地域の歴史や文化を深くする重要な機会になっています。
 
浦賀でも同じように、レンガドックにまつわる歴史や造船技術などを展示する施設を整備するとともに、造船や海洋分野の技術・知識が集約したナレッジ拠点や教育・交流拠点にしていきたいと考えています。
 
公共投資、民間投資、PPPのハイブリッド
今後はアルパラオ造船博物館やFortresse Holland博物館、JAMSTEC(海洋研究開発機構)を含むさまざまな機関、横須賀市の姉妹都市でもあるフランス・ブレスト市などと連携し、具体的なプログラムを構築していきます。施設の整備については、PPP(Public Private Partnership:官民連携)を活用します。
 
さらに、海洋環境のスタートアップを集めたインキュベーション拠点の創設、海洋の保全と持続可能な利用を考える国際会議「One Ocean Summit」の誘致なども進めており、海と環境にまつわる情報を発信する拠点を目指します。
 
第三に、東京湾に出やすく羽田空港に近いという立地を活かし、横須賀市が目指す海洋都市にふさわしい形で海の活用について進めていきます。海の活用については、12月に予定されている横須賀市、住友重機と私たちの3社協定の時に詳しく発表できると思います。また、京浜急行電鉄本線の終着駅である浦賀駅と直結する利便性を活かし、京急とも連携しながらMaaS(次世代移動サービス)の取り組みを進めることも計画の一つです。
 
今回のプロジェクトは浦賀駅周辺の活性化も含まれていますので、公共インフラや新しい商業施設などの整備も予定されています。公共投資、民間投資、PPPを組み合わせた、これまでの日本にない地方創生プロジェクトになると思いますので、ぜひ期待していてください。この浦賀ドックの再生プロジェクトが三浦半島の活性化、ひいては全国の地方創生のモデルとなれば、と考えています。

レンガ造りの浦賀ドック
 
【2025年11月6日掲載】
※このレポートは2025年10月27日にLinkedInに掲載したものを一部編集したものになります。

 

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