REPORT

代表植村の自伝的記憶

18年ぶりの訪問で目の当たりにしたサンフランシスコの荒廃

【2024年6月28日掲載】
※このレポートは2024年6月19日にLinkedInに掲載したものを一部編集したものになります。
 
 
前回の投稿でシリコンバレー視察についてお話しました。実は、ベイエリアにあるセールスフォースの本社を訪ねるなど、この視察ではシリコンバレーだけでなく、サンフランシスコのダウンタウンにも足を運びました。
 
私自身、カリフォルニア芸術大学を卒業した後、カリフォルニア大学バークレー校の大学院に通っていた時期もあり(後に中退)、サンフランシスコはアメリカの故郷といってもいい街です。日本に戻った後もカリフォルニアのレッドウッド材の輸入を始めたため、何度もサンフランシスコに行きました。
 
そのため、久々のサンフランシスコを楽しみにしていたのですが、街のあまりの荒廃に、正直、ショックを受けました。サンフランシスコが危険な街になっているという話はもちろん聞いていましたが、実際に目の当たりにすると、ここまでひどいのかと驚きました。ビルの1階に店が全然ありませんから。
 
街の賑わいが失われた理由
 
みなさまもご承知のように、サンフランシスコが荒廃している要因は一つではありません。
 
カリフォルニア州では950ドル未満の窃盗は軽犯罪に分類されるため、商店での万引きが後を絶ちません。こうした州法の存在がサンフランシスコの治安悪化を助長しているという指摘があります。
 
また、コロナ禍の際にサンフランシスコに集まるテック企業はリモートワークを進めましたが、コロナ禍が収束した後もオフィスで働く人は戻ってきていません。それも、サンフランシスコの空洞化に拍車をかけています。
 
今回、視察で訪れたセールスフォースはサンフランシスコを元に戻そうと、オフィスの1階を借り上げ、安く貸し出したり、イベントを開催したりして賑わいを取り戻そうといろいろと動いていますが、すぐには元に戻りそうもありません。
 
今の状況であればオフィスの面積は恐らく半分で十分です。法律の改正などで万引きを減らすことはできるかもしれませんが、オフィス需要を元に戻すのは難しいかもしれません。
 
サンフランシスコは極端ですが、こうしたオフィスの空室率の上昇はアメリカの各地で見られること。出社を求める企業も増えていますが、出社と在宅勤務を合わせたハイブリッドな働き方が主流になっています。月・火・水は出社し木・金は在宅といった具合です。金利は7%程度と割高ですが、住宅市況が底堅いのとは対照的です。
 
日本はアメリカほどの状況にはありませんが、リモートワークが浸透しつつあることを考えれば、商業ビルの先行きは厳しいかもしれません。
 
いずれにせよ、一刻も早く、あの美しいサンフランシスコの街並みを取り戻してほしいと思います。
 
※【掲載の写真について】サンフランシスコの街並みは様変わりしていた(Image by amregidorb from Pixabay)
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