REPORTレポート
代表植村の自伝的記憶
ジャック・アタリさんとの邂逅
TAG
2024年4月半ば、フランスの経済学者で、欧州復興開発銀行の総裁を務めたジャック・アタリさんと二人でランチを共にする機会がありました。
アタリさんとは、2020年9月にインデックスの関連団体が主催したオンラインシンポジウムに登壇いただいたご縁で親しくさせていただいています。今回、日本に来日するとお聞きしたので、時間を取っていただきました。
アタリさんとは、2020年9月にインデックスの関連団体が主催したオンラインシンポジウムに登壇いただいたご縁で親しくさせていただいています。今回、日本に来日するとお聞きしたので、時間を取っていただきました。
以前のブログでも書きましたが、シンポジウムにアタリさんをお呼びしたのは、アタリさんの唱える「利他主義」や「命の経済」がインデックスの理念に合致すると考えたからです。
アタリさんは以前から、今日の西洋社会にはびこる個人主義を批判しています。気候変動や広がる格差など、世界は今、さまざまな課題に直面しています。
こういった課題は、マクロで言えば市場メカニズムに基づく資本主義社会、ミクロで言えば社会より個人という個人主義が加速させている面があります。
こういった課題は、マクロで言えば市場メカニズムに基づく資本主義社会、ミクロで言えば社会より個人という個人主義が加速させている面があります。
アタリさんも、「今の資本主義社会では多くの人が個人主義を信奉しており、自分さえよければ構わない、自分のことだけが重要だという態度が独裁者のように猛威を振るっている」と語っています。
こうした個人主義を脱却し、利己的な利他主義、あるいは合理的な利他主義を取る人が増えなけれは、今の社会課題は解決できない──。アタリさんは、そう考えているのです。特に、将来世代に対する配慮が不可欠だと指摘しています。
また、これからの社会では「命の経済」、すなわち健康や衛生、食料、農業、水や環境などを中核とした、これからの時代を支える新しい産業がより重要になります。
そんな「命の経済」の重要性に気づいた国がこれから発展していくという指摘には、「まさにその通りだ」と膝を打ちました。
今回、アタリさんと話した内容は別の機会にお伝えしようと思いますが、基本的にはインデックスの考えていることや方向性が間違っていないか、答え合わせをするような場だったように思います。
官民の力を組み合わせるプロジェクトマネジャーの力
もともと建築プロジェクトマネジメントの会社として始まったインデックスですが、近年は社会・公共インフラを通じて、水環境や食糧、格差などの課題を解決するという方向にシフトしています。
このブログでもしばしばPPP(Public Private Partnership:官民連携)について書いていますが、その手段としてPPPを活用しているという位置付けです。
このブログでもしばしばPPP(Public Private Partnership:官民連携)について書いていますが、その手段としてPPPを活用しているという位置付けです。
かつてのように、国がインフラを整備する時代は終わりました。新興国や開発途上国のインフラ整備にODAのような公的なお金が重要なのは変わりませんが、それだけではなく、民間の資金を導入したり、運営や維持管理などのインフラ経営に民間企業のノウハウを取り入れたり、官と民の力をうまく組み合わせる必要があります。これは、まさしく私たちプロジェクトマネジャーの仕事です。
インデックスは、グルーバルな水環境、食料、格差などの課題をこのPPPの仕組みを活用し、解決することを目指しています。現在は交通インフラや水環境、スマートシティなどプロジェクトを国内外の企業と共に進めています。
そういった話もアタリさんにしましたが、「Tres Bien, 一緒にやっていこう」という力強いお言葉をいただきました。目指している方向に間違いはない。アタリさんの言葉を聞き、改めてそう思いました。
気候変動や格差といった課題は地球規模の話で、一企業でどうこうできるような問題ではありません。
ただ、一人ひとりがその解消に向けて努力すること、その積み重ねが変化につながると信じています。インデックスはインデックスのやり方で立ち向かう。それが世界を変えると思って、もう少し頑張っていこうと思います。
【2024年5月7日掲載】
※このレポートは2024年4月29日にLinkedInに掲載したものを一部編集したものになります。
その他のレポート|カテゴリから探す